10月のかめの読書感想文1
時間を確保できない社会人に読んで欲しい本
スタンフォード式 最高の睡眠
この本の内容を一言で表すならこれに尽きる。
「睡眠時間を増やせないなら、睡眠の質を圧倒的にあげるべきだ」
社会人のほとんどが、仕事に追われてなかなか自分の時間を確保できないという悩みを持っているだろう。
悩みを解決する手法として、睡眠時間を削り、早起きするも、三日坊主で終わってしまう。
時間ばかりに目がいってしまい、質を高めることを忘れてしまっている。
著書は、睡眠に関する正しい理解、心がけを学ぶことで、普段の生活に対するマインドを変える大きなきっかけになります。
睡眠の改善が生活習慣の改善につながり、あなたの仕事に費やす時間が、よりクリエイティブになると著者は述べている。
Contents
日本人は「睡眠負債」に陥っている
日本人の平均睡眠時間は6.5時間。
当然、それより長く眠る人もいれば、短く眠る人もいる。
ある統計によると、日本人の40%が睡眠時間が6時間未満である。
何時間寝ればよいといった話は、いろいろな本や研究で議論されているが、大切なのは自分が寝不足感を感じているかいないか。
4時間でも毎日すっきり快適に過ごしているなら問題はない。けれど日本人の多くが、自分は睡眠不足と感じているようだ。
睡眠不足が毎日続くと、仮に1日で30分足りないとすると1ヶ月で15時間足りない、1年間で180時間足りない。
足りない睡眠時間を負債のように考える「睡眠負債」という言葉もあり、負債が蓄積されていくととても危険だ。
それが、マイクロスリープ。
自分の意思とは、無関係に1秒から10秒未満の眠りに入ってしまう。脳の防御反応とも言われているこのマイクロスリープは、運転中でも起きる。
仮に意識が4秒飛べば、時速60kmで70m近く、車が暴走しているということだ。
睡眠負債で、命を落としてしまうことだってあることがお分かりいただけるだろう。
寝不足の積み重ねは避けたいところだ。
睡眠負債は返済すればパフォーマンスは上がる
安心して欲しい、貯まった睡眠負債は返済できる。
ただし、睡眠負債の返済は、時間ではないことに注意して欲しい。
土日に、15時間寝たからといって、パフォーマンスが戻るわけでもないし、寝溜めしたからといって平日のパフォーマンスをキープできるわけでもない。
ポイントは睡眠の質を高めること。
寝落ちの90分のゴールデンタイムを利用する
睡眠の質を高めるとはどういうことか。
それは、寝落ちした90分をいかに深くするかということ。
アルコールを大量に入れて、心拍も上がっている状態での最初の90分は、眠りが深くなさそうなのはイメージできると思う。
いかに、スッと眠りに入って、最初のノンレム睡眠(脳も体も眠っている睡眠)を深くするかがポイントだ。
そのために実施すべきことは、体温を下げること。
ここでいう体温とは体の内部の体温のこと(深部体温)。
皮膚の体温ではなく、体の奥底にある対応を下げることで、スムーズに眠りに入ることができる。
下げる手法としては、寝る90分前に入浴をすること。
入浴することで、一時的に深部体温があがるが、入浴後にその上がった反動で大きく下がる。
これで深部体温を下げるコントロールができる。
深部体温が下がるのに、だいたい90分かかるので、寝る90分前に入浴をすればよい。
また、部屋の室温も重要視すべきである。コタツなどで局所的に温める文化が強い日本。これは睡眠の質を高めるためにはおすすめできない。
体温のスイッチとして効果的なのは快適な室温。寝るときにちょっと寒いなとかちょっと暑いなと感じたら、自分で快適な温度になるように調整をしていただきたい。
脳に眠る時間をインプットさせる
眠りにおいては「モノトナス」と呼ばれる、単調な状態になるように習慣づけることが大切になってくる。
いつもとおりのベッドに、パジャマ、音楽、照明と常に寝るときの状態を一定にすることで、眠りのスイッチが入る。
また、眠りにはやっかいな「フォビッドゾーン」という侵入禁止区域が存在している。
どういうことかというと、いつもの入眠の直前は眠りを拒否するのだ。
つまり「今日はいつもより1時間早く寝よう」と思ってもうまくいかないのだ。
それだったらいつもの時間に寝て、睡眠時間を1時間削って、早く起きる方がよくて、睡眠の質も確保できる可能性が高くなる。
寝る時間を固定するコツは、まずは起きる時間を決めること。そのあとで、徐々に寝る時間を固定していくことだ。
そうすることで眠りのゴールデンタイムにもすんなりと入ることができるようになり、睡眠の質は向上する。
起きるときの脳の覚醒にもこだわる
睡眠の質をあげるには、実は覚醒も大切になってくる。
良い覚醒が良い睡眠につながると考えてくれれば良い。
覚醒のスイッチは2つある。「光」と「体温」である。
人間の体内時計である24.2時間の周期と、1日の地球のリズムである24時間を、うまく同調してくれるのが光である。
光は体温や自律神経、脳やホルモンの働きを整えてくれる。
朝起きたら、窓を開けるだけで、十分な光を取り込むことができる。雨や曇りで、光がないのではと思うかもしれないが、そんなことはない。数分間程度、窓を開けるだけでよい。
眠る時は体内温度を下げることが重要だが、覚醒時はその逆で、しっかりと体温を上げて、スイッチをオンにしておくことがポイントとなる。
軽い運動や、ストレッチなんかがおすすめである。
アラームは20分間隔で2つだけ
どんなに理論的に眠りの質を高める方法がわかっても、パッと朝に目が覚めるのは難しいと思う。
そこでアラームのセットを少し工夫しよう。
アラームは起きたい時間と、その20分前にセットする。
1つ目のアラームは、音を小さくしておいて、2つ目のアラームの音量は、通常にしておく。
よい目覚めをするのは、明け方のレム睡眠の時に起きるのが大切だが、眠りのサイクルには個人差があるので、ぴったりの時間にアラームを設定するのは難しい。
眠りのサイクルが90分と言われているが、それでは大雑把すぎる。
アラームを20分前と起きたい時間にセットしておけば、レム睡眠の状態であれば、20分前の小さなアラームオンでも、スッと起きられるから苦労はしない。
仮に、ノンレム睡眠で気づかなかったとしても、朝は20分程度で、レム睡眠に移行するので、2つ目のアラームで起きられるというカラクリだ。
かめの読書感想文
スタンダート式 最高の睡眠
最近はスマフォを寝ながらみたりできることから、ベッドに入ってから眠りにつくまでに、多くの時間を費やしてしまいがち。その結果、眠りの質が下がり、睡眠時間も短くなり、日本人は睡眠負債になっているというのは、そのとおりだと思う。サラリーマンが朝からだるそうに、電車で爆睡しているのは、その最たる証拠ではないだろうか。1日のおよそ1/3は睡眠であり、人生の1/3は睡眠である。だからこそ、睡眠にもっともっとこだわるべきであると感じる。眠りの質をあげれば、朝から全開で仕事もできるし、遊びもできる。朝起きて、二日酔いで二度寝して気づいたらお昼なんていう、もったいない過ごし方をしている人には、ぜひおすすめしたい本です。